債権の種類

債権の種類

破産財団から支払を受けることができる債権は、財団債権と破産債権に分けられます。破産債権は、破産財団からの配当により支払いを受けることができます。
他方で、財団債権は、破産債権に優先して、破産債権のように配当によらずに、随時支払いを受けることができます。

財団債権

財団債権とは

財団債権とは、破産手続きによらずに随時・優先して支払われる債権のことをいいます。
たとえば、破産管財人の報酬債権は、財団債権とされています。仮に、財団債権として取り扱わなければ、手続の円滑な遂行が不可能になるため、財団債権とされています。
その他には、破産財団の管理・換価・配当に関する費用の請求権も財団債権とされています。以下で、財団債権とされている債権のうち重要な債権を紹介します。

破産手続開始前の労働債権

破産手続開始決定前の原因に基づく労働債権(賃金・給与等)のうち手続開始前3ヶ月間の給料請求権と、退職手当請求権のうち退職前3か月の給料の総額に相当する額は、財団債権とされています。
労働債権は後述の優先的破産債権になり、一般の破産債権より優先されます。
しかし、財団不足の場合に、滞納租税があるような事件では、全く配当されないことがあります。他方、労働債権を全面的に財団債権とすると、多額の退職金債権が発生する場合に、他の破産債権者が打撃を受けることになります。
そこで、現在の破産法は、労働債権のうち、上記の範囲内の労働債権を優先順位の高い財団債権に格上げをしています。

破産手続開始前の租税債権

破産手続開始決定前の原因に基づく租税債権(税金)は、手続開始決定当時まだ納期限が到来していないもの、または納期限から一年を経過していないものに限り財団債権とされています。それ以外の租税債権は、優先的破産債権とされています。
租税債権は、かつて、すべて財団債権とされていましたが、過度に優遇していると批判されていました。そこで、現在の破産法は、租税債権のうち、一年間滞納処分等による措置をとらなかった租税債権を優先的破産債権に格下げをしました。

破産債権

破産債権とは

破産債権とは、破産者に対し破産手続開始前の原因に基づいて生じた財産上の請求権のことをいいます。
破産者に対する人的請求権で財産上の請求権ですから、物権的請求権や身分上の請求権は含みません。破産法は、破産手続開始時点を基準にして、それまでに原因が生じた債権を破産手続に取り込んでいます。
破産債権の額については、手続開始時点で弁済期が到来していなくても到来したものとみなされます。また、非金銭債権では、金銭債権に評価されることになります。

破産債権の順位

破産債権は、①優先的破産債権、②一般の破産債権、③劣後的破産債権、④約定劣後破産債権に分けられます。①から④の順で、財団から配当がされます。

①優先的破産債権
一般の先取特権その他の一般の優先権がある破産債権をいいます。
たとえば、労働債権が優先的破産債権に該当します。

②一般の破産債権
優先的でも劣後的でもない破産債権のことをいいます。

③劣後的破産債権
政策的に劣後的に扱われる破産債権をいいます。
たとえば、手続開始後の利息・損害金が劣後的破産債権に該当します。

④約定劣後破産債権
約定で劣後性が定められるいわゆる劣後ローン債権をいます。

なお、③劣後的破産債権と④約定劣後破産債権については、配当がされる可能性は事実上ありません。