【PMIとは?】M&Aの業務を準備段階から締結後まで徹底解説!
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「M&A業界が気になるけれど、実際どんな業務が行われているのかについて詳しくは分からない」
このような方は多いのではないでしょうか。
M&Aとは、Mergers and Acquisitionsの略で、企業の合併および買収と、それに関わる一連の業務のことを指します。
M&Aでは取引される金額が数億円になることも珍しくなく、その重要性から非常に多くの業務が含まれています。
この記事ではM&Aに関わる業務について、実際行われる順に解説します。
この記事を読めば、M&Aの業務についてバッチリ抑えることができます。
1.プレディールの業務
プレディールは、M&Aにおける準備段階のことを指します。
ここでは、M&Aの目的を決定したり、実際にM&Aの仲介を行うアドバイザーを選定するなど、自社にとってM&Aの根幹を担う重要な事柄が決まる段階です。
- 経営戦略・事業戦略策定
- M&A戦略策定
- アドバイザリー(FA)選定
それでは順に解説します。
(1)経営戦略・事業戦略策定
M&Aの最初の段階では、全社での経営戦略と事業戦略について確認を行います。
折角高いコストをかけてM&Aを行っても、買収先の企業がもたらす資源が自社の方針と一致していなければコストに見合ったパフォーマンスを発揮できないからです。
そのため、M&Aを行うにあたっては自社がどのような成長を目標としているかについての意思統一が必要となります。
(2)M&A戦略策定
M&A戦略の段階では、経営戦略に基づいてターゲット企業等の条件設定を行います。
M&Aの目的は、自社の経営戦略を実現するために、必要な経営資源を入手することにあります。
従って、どのような経営資源が自社の成長のために必要かについてや、M&Aが成約し、経営資源を入手した場合に自社の経営戦略と整合性がとれており、活用が可能であるかについて十分な検討が必要です。
これらの条件から、ターゲット企業を設定したり、M&Aの方向性を定めるのがM&A戦略の段階です。
(3)アドバイザリー(FA)選定
経営戦略・M&A戦略の策定の後には、アドバイザリー(FA)の選定を行います。
M&Aには契約や法務・交渉など専門的な知識が必要な業務ばかりですので、基本的にM&Aアドバイザーに依頼を行ってM&Aの完了まで一貫してアドバイザリーを受けます。
アドバイザーの選択肢としては、M&Aを専門とする仲介会社や地方銀行・メガバンクが挙げられます。
アドバイザーは売り手もしくは買い手の一方と契約を締結してクライアントの最大利益を目的とするFAと、売り手及び買い手の間に立って双方のアドバイザーをする仲介業者の2つに大別されます。
どれを選択するとしても、アドバイザリーの選定はM&Aの成否を分ける部分の一つですので、慎重に選択を行いましょう。
2.インディールの業務
インディールは、M&Aの実行段階を指します。
ターゲットとなる企業との面談・契約の合意・締結など、専門的な業務が多いのが特徴です。
M&Aを実行するにあたっては多くの段階を踏むため、非常に細分化されていますがしっかりと押さえましょう。
- ノンネーム作成
- NDA締結
- IM(企業概要所)作成
- ロングリスト・ショートリスト作成
- トップ面談
- 基本合意
- DD(買収監査)実施
- SPA(株式譲渡契約書)締結
それでは順に見ていきます。
(1)ノンネーム作成
ノンネームとは、譲渡企業が匿名で自社の業務概要の要約を作成することです。
業種や事業規模・譲渡の目的などが書かれており、それを読んだ買い手候補の企業が関心を持てば以降の段階に進みます。
ノンネームには、収益に関する詳細など、一般に公開されていない情報が多分に含まれており、記名で資料を送付すると機密保持契約の締結が必要となってしまいます。
このような契約の締結を省略できるよう、匿名で自社の情報を開示することがノンネームの役割です。
(2)NDA締結
ノンネームを参照した企業が譲渡企業に関心を持った場合は、ネームクリア(企業名の開示)を行います。
それに伴って必要となるのがNDA(non-disclosure agreement, 秘密保持契約)の締結です。
NDAは、自社の機密情報について締結された用途以外での使用や、第三者への漏洩を禁止する契約のことです。
NDAを締結することで、提供した情報をもとに類似のビジネスを行われることを防止したり、万一情報が流出した場合に損害賠償を請求することができます。
このような目的で行われるのがNDAです。
(3)IM(企業概要書)作成
IM(Information Memorandum, 企業概要書)は、譲渡企業の情報が記載された概要書のことです。
秘密保持契約を締結した後に提供され、これをもとに買い手企業は企業価値の評価を行います。
企業価値は会社の保有株式やキャッシュフローなどを参照して金額換算され、これをもとに買い手企業は入札するかしないかを決定します。
多くの場合、ノンネームを公開した企業に関心を持つ買い手企業は2社以上ありますので、M&Aの際には提示価格やその他個別の条件などから入札を行い、買い手企業が絞られることとなります。
(4)ロングリスト・ショートリスト作成
ロングリストは、買い手企業の候補先企業がリストアップされたものです。
譲渡企業が作成した買い手企業の条件を満たすものが抽出され、20社〜30社のリストとなることが一般的です。
ロングリストから譲渡企業・買い手企業の親和性やM&Aについてのリスクを考慮し更に絞り込まれたものがショートリストです。
10社前後まで絞り込まれることが一般的で、ショートリストを作成した際に設定した優先度が高い企業から次以降の段階を踏みます。
(5)トップ面談
トップ面談では、譲渡企業と買い手企業の経営者が顔を合わせて面談を行います。
面談は、経営理念や人間性、事業に対しての疑問の解消など、IM等の資料だけでは分からない箇所を理解することを目的に行われます。
トップ面談を通じて互いの企業文化や理念についてしっかりと話合うことで、M&A成立後のPMIをスムーズに行うことができます。
(6)基本合意
トップ面談で買い手・売り手企業の意思決定が行われた後は、M&Aについての基本的な事項についてすり合わせを行い、合意書の作成を行います。
合意書に記載される内容は様々ですが、基本的には売買の大まかな金額や役員のポジション、基本合意の後に行われるDD(買収監査)の協力義務などについて記載されます。
次項で説明するDDの結果次第ではM&Aが実行されない場合もあるので、基本合意には法的強制力を持たせないのが一般的です。
(7)DD(買収監査)実施
DD(Due Diligence, 買収監査)とは、 M&Aに際して行われる譲渡企業の価値およびリスクについて監査を行うことを指します。
DDには経営・財務・法務・環境などの種類があり、これらそれぞれの観点から譲渡企業の実情を精査します。
前述のIMをもとに算定された企業価値とは異なり、コンプライアンスや買い手企業との親和性など、量的尺度では評価できない価値・リスクも精査の対象となっている点が特徴です。
DDの結果をもとにして、買い手企業はいよいよSPAの締結へと踏み切ります。
(8)SPA(株式譲渡契約書)締結
M&A成約に関する業務についてここまで解説を行いましたが、ついにSPA(Stock Purchase Agreement, 株式譲渡契約書)が締結されます。
SPAには株式の譲渡や、その他の条件についての合意が記されており、この締結を持ってM&Aの最終契約となります。
基本合意とは異なりSPAには法的拘束力があり、株式の譲渡義務やその価格、契約違反の際の賠償・補償などM&Aに際する全ての合意について記載がなされます。
3.ポストディールの業務
SPAが交わされ、M&Aが成約した後には統合段階としてPMI(Post Merger Integration, 合併後統合)が行われます。
PMIはその名の通りM&Aが行われた後の統合段階のことを指し、階層構造として、上位のものから経営・業務・意識の3段階に分けられます。
PMIの目的は、これらの統合をもとにしてM&Aによる利益を最大化することです。
PMIを円滑に進ませ、コストに見合う利益を出せるようにすることがM&Aで最も重要な点です。
この章ではそれぞれの段階について解説を行います。
- 経営統合
- 業務統合
- 意識統合
(1)経営統合
経営統合の段階では、M&A後の経営戦略を統合します。
対象は経営者層で、2つの企業の経営層に対してそれぞれの経営戦略を比較し、どちらを採用するか決定します。
例えば、経営理念や人事・評価制度、会計制度などが統合の対象です。
このように理論や戦略・経営の枠組みを統合するものが経営統合です。
(2)業務統合
業務統合では、M&A後の業務の処理方法を統合します。
譲渡企業・買い手企業どちらの業務手法がM&Aの後に優先されるか検討します。
組織構成や情報システムに関しても業務統合の段階で統合します。
このように、実際行われる業務の仕組み・内実の統合を行うのが業務統合です。
(3)意識統合
PMIの最後となる意識統合では、従業員に対してM&Aの必要性と意義を理解させ、従業員の意識を統合します。
企業風土・文化の統合であるとも言われます。
このように、PMIを行うためには双方の企業が経営・業務・意識のそれぞれにおいて双方を理解し、また一致している点と異なる点を把握している必要があります。
4.M&A業界に転職するには
ここまで、M&Aに関わる業務について解説を行いました。
ここでは、実際にM&A業界に転職するには、どのようにすれば良いのか解説します。
- 転職に有利になるスキルを身につける
- 転職エージェントを利用する
それでは順に見ていきます。
(1)転職に有利になるスキルを身に着ける
M&A業界へ転職するには、役立つスキルを身につけることが重要です。
M&A業界は競争率が非常に高いため、転職で差をつけることがとても大切です。
転職で評価されるスキルとして、論理的思考力、ドキュメンテーション能力などがそれに当たります。
M&A業界での経験がなくても、必要とされるスキルを身につけることで十分に有利に転職を進めることが可能です!
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
(2)転職エージェントを利用する
M&A業界へ転職するには、転職エージェントの利用もおすすめできます。
転職エージェントサービスの利用には、以下のようなメリットがあります。
- 転職エージェントでしか見られない求人がある
- 自分のスキル・希望に合った企業をエージェントが見つけてくれる
- 転職活動のスケジューリングもしてくれる
- 無料で受けられるサービスが非常に多い
このように、転職エージェントサービスの利用には多くのメリットがあるので、活用をおすすめします。
まとめ
この記事では、M&Aの業務に関して順を追ってご説明しました。
M&Aに関わる業務は、企業の成長を目標に非常に複雑でやりがいのあるものであることがお分かり頂けたと思います。
この記事を読んでM&Aに更に興味を持ってくださった方は、是非詳細を調べてみてください。
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