FASからPEファンドへの転職希望者必見!業務内容や実態を調査
「FASからPEファンドへ転職を希望しているが具体的な業務内容が知りたい」
「PEファンドへの転職で活かせるスキルは何か知りたい」
現在FASに勤めていて転職を考えている人の中には、PEファンドが気になるという人もいることでしょう。
当記事ではPEファンドの業務内容を具体的にご紹介するとともに、PEファンドへの転職で活かせるスキル、さらにFASと比べて労働環境は実際にどうなのかについてお伝えします。
PEファンドについて知って、転職活動を具体的にしていきましょう。
1.PEファンドの業務内容
PEファンドは、複数の投資家から集めた資金を元に事業会社や金融機関の未公開株を取得してその企業の経営に深く関与し、企業価値を高めた後に売却することで利益の獲得している企業です。
FASが財務のスペシャリストとしてクライアントの企業に外部から関わり企業の課題解決に取り組むのに対し、PEファンドは内側から課題解決を行い企業価値を高める点が大きな違いです。
PEファンドの業務は大きく分けて3つです。
1.ソーシング
2.エグゼキューション
3.EXIT
以下でご説明します。
(1)ソーシング
ソーシングは、投資案件の発掘を指します。
待っていても案件がやってくるわけではないため、どのPEファンドも苦労している部分です。
M&A仲介会社や金融機関からの紹介であったり、またPEファンド側から個人投資家や事業会社に対して積極的に営業する手法で行われます。
たとえ初期段階ではM&A市場において価値がないとされる企業であったとしても、内部から成長を促すことによって企業価値を高めて売却先を探していくのです。
最初の提案から次のエグゼキューションに至るまで数年を要する場合もあるため、粘り強い交渉の姿勢が必要です。
(2)エグゼキューション
エグゼキューションとは、ソーシングによって発掘した案件について投資実行に至る全ての実務を指します。
1.基本合意(MOU)締結
2.デューデリジェンス
3.投資委員会での決済
4.最終契約締結
5.取引実行
エグゼキューションはすべてをPEファンド内で行うわけではなく、証券会社や法律事務所の力を借りることもあります。
2.のデューデリジェンスに関しては、財務のスペシャリストであるFASに依頼することもありますので、FASで勤務経験がある人がPEファンドに転職すれば、この部分で力を発揮できるでしょう。
基本合意締結をしたあとでも、財務状況や事業環境が想定と大きく異なるなどした場合に案件の続行が不可能になることもあるため、取引実行は多くのフェーズを経て慎重に進められます。
1件の案件を取引実行に持っていくためには相当の労力と時間が必要になるのです。
(3)EXIT
無事取引が実行され、内部からバリューアップを行うことで投資先企業の業績が改善すると、最後の業務は市場の状況を見計らった上のEXIT、すなわち企業の売却です。
取得当初よりも業績が改善し企業価値が上がっているため、PEファンドは取得金額の回収と売却金額の差益が得られます。
最初に資金を提供してくれた投資家への元本分と最初に約束したリターン分を支払った残りがPEファンドの利益となります。
IPO(株式公開)を通じて行う場合もあれば、他の事業会社やファンドに売却するケースもあり、その手法は1つに限られません。
2.FASからPEファンドへの転職に活かせるスキル
ここまで読んできて、PEファンドの業務内容は難しいと思われたかもしれません。
しかし、PEファンドは取り組んできたことが数字になって見られるため、やりがいのある希少な仕事です。
PEファンドへの転職難易度は高いため、どのようなスキルが活かせるのかを知っておきましょう。
1.財務・会計知識
2.英語力
なぜこれらのスキルが必要なのかについても触れているため、参考にしてみてください。
以下でご説明します。
(1)財務・会計知識
まずは、財務・会計知識です。
FASでの業務である財務デューデリジェンスでは、M&Aで論点になる正常収益力やネットデット、運転資本等の項目を詳細に分析を行うため、総合的な会計の知識を得られることが多いです。
PEファンドは買収時にデューデリジェンスを外部のファームに頼む前に初期的な検討・分析を行うことが多く、その際にFASでの財務分析や税務ストラクチャーの検討経験が活きると予想されます。
常に新しい財務・会計知識を身に着けておいて、転職活動の際アピールしましょう。
(2)英語力
2つ目は、英語力です。
外資系のみならず近年では日系のPEファンドでもクロスボーダー案件を扱うことが多いため、最低でも一般的なビジネスレベルの英語力が求められます。
投資家から資金を集める業務に就いた場合は海外投資家から直接資金を集めることもあり、その場合は交渉できるレベルの英語力がなければ太刀打ちできません。
PEファンド側も一定のレベルを満たさない人に英語力が必要なポジションを与えませんが、幅広い業務に対応できる英語力を持っていれば転職に有利に働くでしょう。
3.PEファンドの働き方について
実際にPEファンドに転職した場合、その働き方はどのようなものなのでしょうか。
2つに分けて見ていきましょう。
1.ワークライフバランスが取りやすい
2.ベースは低いがキャリーにより年収が高い
以下でご説明します。
(1)ワークライフバランスが取りやすい
クライアントの課題解決のためアドバイスを行うコンサル業界全体は激務というイメージが持たれやすいですが、PEファンドは比較的ワークライフバランスが取りやすい職場です。
現在FASに勤務している人は決められた期日までにスケジュールをこなす必要があり、案件によっては残業続きということもあるかもしれません。
しかし、PEファンドは自分たちで時間軸やプロジェクトのタイムラインを握ることが多いため、ワークライフバランスが取りやすくなっているのです。
投資直後の100日プロジェクトにおいては投資先に赴くなど業務量が増加する傾向があるものの、時間を取られすぎるということは少ないといえるでしょう。
(2)ベースは低いがキャリーにより年収が高い
PEファンドの年収は、ベース年収+キャリー(成功報酬)という構成になっており、ベース年収だけで見ると低いものの、キャリーを合わせると莫大な金額になります。
職位によりますが日系PEファンドの年収は800万〜2,000万以上、外資系PEファンドは1,000万〜3,000万以上と、日本の企業の平均水準(400~500万円程度)を大きく上回る金額です。
FASの年収も30歳前後で700万〜900万、ファームの共同経営者であるパートナーになれば2,000万以上になるなど高い水準ですが、PEファンドはさらにそれを上回ります。
PEファンドの年収は投資対象から得られるキャピタルゲインが原資となっているため莫大な金額になることもあり、非常に高いといえるでしょう。
まとめ
FASからPEファンドへ転職を検討している人に向けて、PEファンドの業務内容や転職に必要なスキル、PEファンドの実態についてご紹介しました。
PEファンドへ転職したあとのビジョンについてより具体的に描ける材料になったのではないでしょうか。
ぜひ必要なスキルを磨きつつ、少ない枠の獲得に向けて対策を立てながら、PEファンドへの転職を実現させてください。
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