死亡事故
2022.01.25

交通事故の死亡事案について当事務所はご遺族が適正な賠償を実現するためのインフラになることを方針として取り組んでいます。

大切な人を一瞬の出来事で奪われてしまった悲しみは長い時間をかけても受け入れることは難しいです。時間がたてばたつほど理不尽だという思いがつのります。喪失感とこれから先の生活はどうしたらいいのかという不安、皆さんはこの先様々な思いと向き合っていかなければいけません。
当事務所では、事故後不安な日々を過ごしているご遺族の方のことを考えたサポート体制をご用意しています。

まずは適切な賠償額について知っていただくことです。

保険会社がご遺族に対して提示する示談金は、保険会社の基準によるものです。これは弁護士が交渉する場合に使用する裁判所で認められる基準と比べて、相当に低いことがほとんどです。死亡事故の慰謝料は、自賠責保険の基準上では、900万円から1300万円の間になります。
これに対し、裁判所の基準上では2000万円から3000万円の範囲が基準となります。保険会社が提案する賠償額はこの自賠責保険の金額と同等か多少高い金額であることが多く、裁判所基準の金額からは低い金額となります。このように、慰謝料だけみても数百万円から、場合によっては数千万円の違いが出ることがあります。

交通事故に関する知識を総動員して解決するのが死亡事故事案の特徴です。

死亡事故事案の解決には、交通事故問題全般に関する知識や対応力が求められます。たとえば、事故初期の過程をどのように対応するかによって、その先の結果が変わることがあります。人身事故では警察が実況見分を行い、実況見分調書を作成します。

この実況見分調書は、刑事の分野に限らず、民事裁判においても重要な証拠となります。実況見分の場で、加害者は事故状況を自身の都合のいいように主張しますが、死亡事故の場合は、被害者が立ち会うことができないため、加害者に有利な実況見分調書が作成されてしまうことがあります。必要に応じて、弁護士が実況見分に立ち会い、事故態様が正確に記録されるよう被害者側の主張を補強します。また、保険会社との交渉や裁判に備えた証拠収集として、現場の状態が変わらないうちに現場に赴いて被害状況を記録しておく必要があります。

他にも、過失割合が争われるケースでは、刑事記録の取寄せを行い、事故状況を精査し過失割合を調査する必要があります。一般の交通事故事案は、被害者の主張を元にある程度事故状況を把握することができますが、死亡事故事案の場合はそうはいきません。
請求額が大きくなる死亡事故事案では、過失割合が少し違うだけで、賠償額に大きな差が生じてしまうこともあります。交通事故事案に総合的に携わっている弁護士でなければ、適切なサポートをすることができません。

経験豊富な当事務所だからこそできる対応があります。

当事務所の費用体系は、成功報酬制です。相談料無料、着手金無料で初期費用はかかりません。また、裁判手続に移行する場合の追加費用も発生しません。請求額の大きい死亡事故事案では、任意交渉では話がまとまらず、実際に裁判手続を行う必要が出てくるケースもあります。

裁判手続を行う場合は、書面の作成や証拠資料の準備、過去の判例の検討、裁判所への出廷等、弁護士は様々な業務を行う必要があります。法律事務所によっては、裁判手続に移行する場合、こういった業務に応じて追加費用を頂いているところがありますが、当事務所では追加費用は頂いておりません。
当事務所の弁護士は、今まで多種多様な交通事故事案に携わり、そのひとつひとつを丁寧に解決して参りました。安心してお任せください。

死亡事故事案で適切な賠償を受けるために

当事務所の弁護士が、あなたのお話をじっくりとお伺いし、今後のことをわかりやすく説明します。
どの段階で弁護士に相談や依頼をするべきかというご質問をいただくことがありますが、死亡事故事案の場合は、保険会社や相手方とのやり取り、資料の準備、相続人間の調整など行うことが多岐にわたるため、特にすぐにご相談いただくことをお勧めしています。それでも「本当にメリットがあるのか心配」、「身の回りのことがひと段落するまで他のことは考えたくない」という方のために、死亡事故事案の賠償金はどのくらいなのか、死亡事故被害者の遺族の方を支えるためにどういう手続があるかについて、ここでご説明します。

死亡事故で請求できる賠償金

死亡事故で加害者に請求できる賠償金は主な項目として、「葬儀費」、「慰謝料」、「逸失利益」があります(事故後から死亡に至るまでに一定の期間があった場合は、その間の治療費、入通院慰謝料、付添看護費や入院雑費等の賠償金も請求することができます。)。

注意が必要なのは、これらの賠償金の金額に「自賠責保険の基準」「任意保険の基準」、「裁判所の基準」等のそれぞれ異なる支払基準があることです。保険会社は示談金を提示する際、その金額が基準に従った金額の上限だという説明をしてきますが、その基準は保険会社自社の基準です。
保険会社は営利を意識して基準を定めています。保険会社基準の賠償額は、弁護士が交渉する際に使用する裁判所の基準と比較して相当に低い場合が多いです。賠償額が大きい死亡事故においては、保険会社の基準と裁判所の基準に数千万の差がでることがあります。

葬儀費用

葬儀にかかった費用を賠償金として加害者に請求することができます。
葬儀費用は、葬儀そのものだけでなく、その後の法要、仏壇や墓石の建立費等、一般的に必要とされる費用一式を含めることができます。葬儀費用は、自賠責保険の基準で原則60万円ですが、裁判所の基準では原則150万円となります。
葬儀費用ひとつとっても両者の間には2倍近い差があります。

自賠責保険基準 原則60万円。
※必要且つ相当な出費である場合は上限100万円
裁判所基準 原則150万円。
※但し現実の出費が150万円を下回る場合はその実費

慰謝料

賠償金ときいてまずイメージするのが慰謝料でしょう。この慰謝料にも自賠責保険の基準と裁判所の基準があります。

自賠責保険基準

自賠責保険基準の慰謝料には、本人の慰謝料と遺族の慰謝料とがあります。

本人 350万円
遺族の慰謝料 (被害者の父母、配偶者、子) 請求者が1名の場合:550万円
請求者が2名の場合:650万円
請求者が3名以上の場合:750万円
※被害者に被扶養者がいる場合は、上記金額に200万円を加算。

裁判所基準

一家の支柱の場合 2,800万円
一家の支柱に準ずる場合 2,500万円
その他の場合 2,000万円~2,500万円

「一家の支柱」とは…

被害者の収入によって生計を維持している場合をいいます。

「一家の支柱に準ずる」とは…

一家の支柱でない場合で、家事の中心をなす主婦や、独身者であっても父母や兄弟に仕送りをしているもの等をいいます。

裁判所の基準は、被害者が家族の中でどういう役割を担っていたかによって金額が変わる傾向にあります。この他、事故態様、事故時や事故後の加害者の対応、遺族の事情等によって慰謝料の増減が生じる場合があります。

自賠責保険の基準と裁判所の基準を比較してみると、以下のような違いが出てきます。

その1 夫、妻、未成年の子の3人家族で、一家の支柱である夫が死亡したケース

自賠責保険の基準 1,200万円
350万円(本人)+650万円(請求者2名分)
+200万円(被扶養者加算分)=1,200万円
裁判所の基準 2,800万円

 

自賠責保険の基準が1,200万円、裁判所の基準が2,800万円ですから、1,600万円の差額が生じることになります。

その2 夫、妻、未成年の子3人の5人家族で、一家の支柱である夫が死亡したケース

自賠責保険の基準 1,300万円
350万円(本人)+750万円(請求者3名以上の場合)+200万円(被扶養者加算分) =1,300万円
裁判所の基準 2,800万円

 

自賠責保険の基準が1,300万円、裁判所の基準が2,800万円ですから、1,500万円の差額が生じることになります。

逸失利益

賠償金の中で一番耳慣れないのが、この「逸失利益」という項目でしょう。逸失利益とは、被害者が交通事故で亡くなっていなければ得ることのできた利益のことをいいます。算定方法は以下のとおりになります。なお、計算式中に「生活費控除率」という言葉が出てきますが、これは被害者本人が消費したであろう生活費の割合です。だいたい30%~50%の範囲になります。

1.原則

収入×(1-生活費控除率)×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数

2.年金受給者の場合

高齢者で年金受給者の場合は、1に加えて次の金額も加算されます。年金の場合、受給額の大半を生活費が占めることになるため、生活費控除率は60%程度になります。

年金額×(1-生活費控除率)×平均余命の3分の1の年数に対応するライプニッツ係数

※ライプニッツ係数とは
「中間利息控除」とも言います。遺族は、本来被害者が生涯をかけて稼いだはずの金額を前倒しで一度に受け取ることになります。たとえばこの金額を銀行に預金した場合、本来は生じなかったはずの利息が利益として生じます。より実態に則した正確な賠償額に近づけるために、一度に受け取ったことによって生じた利益を控除する指数がライプニッツ係数です。

仮渡金の申請

突然の死亡事故で、一家の大黒柱を失った方の一番の心配事項は、当面の生活費です。しかし請求額の大きい死亡事故事案は、適切な賠償を受けようとすると、解決までには時間がかかることが珍しくありません。保険会社との交渉から裁判手続に至るまで、場合によっては年単位で時間がかかることもあります。保険会社は皆さんが早期解決・早期支払を望んでいるという点に付け込むような対応をしてくることがあります。

一度示談に応じてしまうと、もう後戻りはできません。「示談に応じてはいけないといっても当面の生活費はどうしたらいいの?」と思われるでしょう。そういった方のために、仮渡金の請求という手続があります。この手続は相手方の自賠責保険会社に対して請求するもので、死亡事故の場合、仮渡金として290万円を受け取ることができます。とはいっても、請求手続に必要な書類を確認して、揃えて提出するというのは、ご自身が行うにはなかなか手間のいる作業です。当事務所では、仮渡金の請求の手続のサポートも行っています。手続費用はいただいていません。安心してお任せください。

いかがでしたでしょうか。少しでも迷われることがございましたら、一度ご相談ください。
今後のことを知っていただくことがご心配を解消する第一歩になると考えております。皆さんが一日でも早く平穏な生活を取り戻すことができるように、当事務所の弁護士が事故に関する今後の手続きや保険会社とのやり取りや賠償額のこと、また、ご遺族の相続のことなどを説明いたします。

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